解読不要の文字列

誰だって自分が相手を本当に傷つけた記憶を書き換えて、忘れている。

人を人としてみないことで
やっと人を愛せるから
神について考えている。

視線を反らすのは
逃げているわけではなく、待っているから。
でも、この世は待っていてくれないらしい。


『変人ですよね』とわざわざ確認してくる人形(ひとがた)に時々出くわす。
そう、こういう人形は、恐らく繊細ではないのだ。
でも直感が働く。

地球人は全て、程度の差こそあれ、今や全員が病人で
変人でない人などいるのか。
気が狂わない方がよほど可笑しい。

けれど私みたいな人形は『変人』かどうか疑われるほどには『変人』なのだろう。
程度の差こそあれ、の『程度』の波がギザギザだから。


数学の教師だった人が、数独を見ただけで直感でどこにどの数字が当てはまるのかが分かると言っていた。
人には人の染み付くものが何かしらあるらしい。

私には 死 が染み付いている。

私が普通でなくて本当に良かった。
普通でないことを理解できない幸福な人間でなくて本当に良かった。
真っ暗闇のいい人生だった。
闇の向こうに光がみえる
ほとんど何も定かでない、そんな人生だった。
それでよかった。
最後に本当に美しいものに触れられるのだから。