群青とセピア

夕泳と申します。作品のこういうところが美しい!ということを語ります。基本的にネタバレあり。コメントご自由にどうぞ(^^)d

Clamp X 考察その2

以前書いた記事の続きとして、clampの「X」についてもう少し考察する。

 

神剣を産むには母親が死ななければならないことについて、恐らくこれはグレートマザー(太母)を殺すことではないか。

 

「X」では"神剣"が母親の腹を突き破って生まれる。この"神剣"は、ユングでいう「自我」であり、意識内の太母を殺すことで子どもの自我が芽生えることを描いていると思われる。

 

また、

 

・神威と封真には神剣の声が聞こえる

・神威と封真は双子星のもとに生まれてきた

 

などから、2人は共通する意識体(神剣≒自我)を持った、陰と陽、相反する人間の心の象徴とも言える。また、双子星~から神威と封真は腹違いの兄弟とも読み取れる。

 

「神剣を五芒星の中心に置け」という指示は、神剣を中間点に置くことで一時的に意識の安定が保たれることを意味するのでは。

しかしすぐにこの安定は崩され、神威と封真の葛藤は余儀なくされる。

 

 

神威と封真、その他七人の御使い等、地球の運命に巻き込まれた人々に本質的な悪人はいない。悪は必要悪として描かれる。

 

よって人々の悪行の皺寄せは小鳥が背負うことで成敗される。

地上の罪を背負った小鳥は十字架にかけられ、イエス・キリストとなって死ぬ。

小鳥のタロットカードは「恋人」。意味は"絆"である。

「X」の唯一の希望は小鳥の「未来はまだ、決まってなんかないよね」という言葉だ。

 

小鳥がイエス・キリストのような描写がされているのは、復活を暗喩しているのではないだろうか?

永遠に来ないかもしれない最終巻で、小鳥が復活し、一躍買うことも予想される。

 

 

 

封真のタロットカードは公表されていないが、恐らく「塔」だろう。意味は自己崩壊、必要悪。またこのカードは正も逆もどちらも凶だが、解釈によっては解放、改革を意味するという(封真は人間側からみれば害悪だが、地球の視点でみれば「地球の変革」者である)。

 

また、この手の話では「正義VS悪」を描きがちだが、

その筋書きでいけば封真に対抗するのは火煉さんになるはずである。火煉さんのタロットカードは「正義」で意味は公平、均等、一方通行、偏生など。

 

しかし「X」は正義のヒーロー物語ではない。そもそも"対立"ではなく"救い"を描いている。

 

必要悪の封真に対抗(救済したい)するのは神威であり、

神威のタロットカードは「魔術師」。意味はチャンス、起源、無気力、混迷。

 

「魔術師」は奇術を行う大道芸人、"意図的に自らの能力を覆い隠し、大衆を欺く計算高い人物"、トリックスターである。

 

「X」の世界を操っている黒幕に丁姫がいるが(悪人ではない)、夢を渡る丁姫の姿を神威は夢の中で見極める。

このことから、神威は意識と無意識(現実と冥界)の錯覚の幻術を解く鍵である宿命をもった人物である(≒トリックスター)といえる。

 

 

今回はこの辺で考察を終えるが、

「道化師」や「ギリシャ神話」、「タロットカード」などについて研究する必要を感じた。

また考察をしていて

最終巻では、最後の審判、三位一体の概念が扱われるのではないか…と自分勝手な推測が浮かんできた。

 

ではSee you

 

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